嫁入り 第一話


 遅参の茶の席で出会って、石田さんは伊達が女の子だって気づくんだけど、他は気づいてないんだ。ていうか石田さんも何で気づいたんだか謎。ねねは忍だから気づいてるかもしれないけどそういうことは話してなくて、半蔵は伊達が極力会わないようにしてるので、まあ、現状では石田さんのみが知ってるようなもの。
 そんで二人で茶をしてるときに、石田さんは首を斬られるかもしれなかったのにのらりくらりとして茶なんぞ学んでる伊達(しかもどうやら女らしい)に興味を持つんだけど、それ以降はさっぱり会わないのだ。
 しかし石田さんは伊達の誕生日にふと思い出して贈物をして、伊達に訝しがられる。そんなに接触もないし、なんで石田さんから贈物を贈られるのか。首をかしげて、直接届けに来た石田さんに尋ねると、好きだからとかなんとか言われて、こいつ寝惚けてんのか?と思う。真顔で冗談とは悪趣味だ、と言って伊達は一向に信じないんだけど、じゃあどうしたら信じるという話になって、石田さんがそらとぼけてるので伊達も本気でたちの悪い冗談だと信じてて、ノリみたいな感じで、「じゃあ来年もそう言うたら信じてやってもいい。」みたいな流れになる。立ち去った石田さんに「何じゃったんじゃあやつは。」と不審がりながら、それ以降石田さんからのアプローチが何もないし、女だとばれてることも知らないので、やっぱあれは冗談じゃったんじゃなと思って、その年は過ぎて。
 翌年。
 何かの戦の褒賞で石田さんは何が欲しいか考えておくよう秀吉に言われて、何にするか、義三兄弟辺りで飲みながら話すのだ。で、色々言ってる中石田さんが「政宗が欲しい。」とかほざいて、直江は酒を吹いて、真田はぽかんとして、左近は絶句して、慶次は「かぶいてるねえ。」とか言う。しかし本気なのか冗談なのか定かではないけれど、石田さんは最後までそう言い続けて、直江は不義不義鳴く(不義や義は直江の鳴き声ではありません)。
 そしてその酒の席の発言を聞き及んだ秀吉が、石田さんに恐る恐る、ちょっと苦言めいた怒り口調で「三成…おみゃあさん、政宗のことが好きなんか?」と尋ねたら、石田さんが開き直って、「確かに俺は政宗が好きです、秀吉様。それで誰かに迷惑かけましたか?」とかきっぱり言い放つんだ。
 そうきっぱりはっきり言われてしまうと秀吉としても注意することも出来なくて、そうでなくてももともと秀吉はネタ好きだし、豊臣夫妻は石田さんのことを買ってるから、褒賞うんぬんとかじゃなくて、どうにかして伊達とくっつけられないものかと考えまくる。流石に、可愛がってる石田さんのことだけあって、それが冗談なのか本気なのか、豊臣夫妻にはわかったのだった。
 秀吉は衆道なんざ物好きなとか思ってるんだけど、ねねはどうなのかはさっぱりわからない。伊達が女だと知ってるのか、知らないのか。ただ、「案外ずぼらな三成にはあのくらい積極性のある子が良いね!家事も出来るし、料理美味いし、風雅だし。文句ないよ!」と絶賛してる。
 まさかそんなことになってるだなんて知らなかった伊達は、遊びに来た幸村と慶次の二人(直江は来ない)に酒の席での出来事を話されて、吹く。「何じゃそれは!?」勿論、幸村と慶次に答えられるはずもない。
 そして伊達は不審がりながらも、嵐の前の静けさ…。酔っ払いの言うことだろうと結論づけたころに、ねねがやって来る。たぶん、石田さんが秀吉に思いを打ち明けさせられた(?)3日後くらい。ねねはきっぱりはっきり石田さんの思いを伊達に伝えて、同席してた孫市は驚きつつも面白がって、片倉は正直反応に困る。幸い、成実は不在だった。いたらどんなことになってたか。で、ねねがお嫁においでよと伊達を誘って、(…?お嫁?)と孫市は少しだけいぶかしんだものの、まあ単に上になるか下になるかの衆道上の問題だろうと思って、女好きの身にしてみればそんな話し合い目の前でされたくないし、人妻であってもねねは女性なので、ねねが欲しがるままに伊達を売っ払う。「まっ孫市!貴様、わしをねね様に売ったな!?」「ほーら、おいで政宗v」
 ねねが政宗を強制連行してから、「政宗には悪ぃが良いことしたなあ。秀吉に、三成にも恩売れたしなあ。」とか思いつつ、ふと、孫市はそういえば片倉がいた事実に気づくんだけど、何かやたらめったら微妙な表情をしてるので、少しだけいぶかしむ。いぶかしむが、まあ、大して考えないで、主が衆道だもんなあと結論付ける。
 で、伊達の誕生日なのに、伊達は石田さんに贈られるのだ。


 で、贈られてしまった伊達は石田さんの前にリボン付きで出されて仏頂面。石田さんはねねにおいでと言われたから仕事の合間だったけど来たのに、何か伊達が頭にリボン付けて待ってるし、意味がわからない。「…何かの冗談か?」「それはこっちの台詞じゃ馬鹿め!」いらいらしてる伊達をそのまま放置して(そこに愛はあるのか、石田さん。)、「ふむ?」と考えた結果、そういえば今日は伊達の誕生日だったことを思い出す。1週間前は覚えてて誕生日プレゼントとか買ったんだけど、ここ数日どたばたしてて忘れてたのだ。そして、「ああ。」とぽんと手を打って、来年の誕生日も覚えてたらうんぬんという約束を履行するために伊達が自分から来たのだと石田さんは思う。まあ、来なくても石田さんから行くつもりだったんだけど。
 「貰われに来たのか。」「何がじゃ!」「大丈夫だ。俺はあまり女が働くのは好きではないが、したいなら伊達の仕事を引き続き続ければいい。」
 話聞いてない石田さんの台詞に、反論が止まる伊達。
 「…何が働くのが好きでないと?」「?女だが。」
 さあっと青くなっていく伊達の様子に、「ああ、俺が気付いていることを知らなかったのか。」と言ってる石田さん、の後ろをねねが女中を大量に引き連れてやって来る。
 「ほらほら、三成。駄目だよ、いくら可愛いからってまだ手を出しちゃ!来週結婚式にするから、その後にしなさい!地方の子たちはそんな急にはここに来れないかもしれないけど、兼続や幸村たちにはちゃんと通達するんだよ!あと、うちの人と政宗の実家にも挨拶しに行っておいで!」
 茫然自失の伊達はそのまま結婚の準備に。今日は衣装作り。とはいえ、和服だからウェディングドレスと違ってすぐにサイズ調節できるんだけど。
 ねねと結婚相手の石田さんは伊達が女だと知ってるものの、女中たちはまさか結婚の衣装作った相手が伊達の殿様だとは知らないし(そこは石田さんちだったのだけれど、石田さんと伊達は本気でこれまで接点がなかったので。←なのに結婚て。)、片倉は黙ってるし。
 結局、殆どの人が男同士の結婚だと思い込んだまま、石田さんと伊達の結婚式に。
 「…。ふむ、馬子にも衣装じゃな。」
 予想外の可愛らしさに、一瞬言葉につまった秀吉に、ねねが、
 「何言ってるんだい、政宗すごい可愛らしいじゃないの!お前さん、手出すんじゃないよ!三成のお嫁さんなんだから!」「いや、いくらわしでも手は出さんよ。」
 女だと知らず、男だと思い込んでるので、秀吉はそう言うのだった。
 で、結婚式。伊達が諦めたのか、妙にしおらしい。それが女らしくて、しかも見た目が可愛らしいもんだから、もうあれが本当に伊達なのか、噂の伊達の影武者してるっていう側室の猫とかっていう人なんじゃないかと周囲が噂してると、遅れて到着した家康…に付き従ってた半蔵が伊達の正体に気づくのだった。
 「な、何?伊達の小倅が女だと申すのか、半蔵よ!」「御意。」小声でぼそぼそ。それをたまたま耳にしてしまった直江が酒を吹いて、まじまじと伊達を見やる。確かにそう言われてみればそんな感じがしないでもないけれど、しかし普段の言動がアレなだけにどうしても信じられないというか信じたくないというか。
 式では、遅参で少し接触を持ったものの結局豊臣に伊達が組み入れられてしまったのか、と苦々しい顔をした徳川家と、信じたくなくてうんうん唸ってる直江が見受けられたのだった。
 普通初夜ってアレなんだろうけど、石田さんが寝室に赴いて襖を開けたら初っ端枕を投げつけられるのだ。枕って、現代のふかふかじゃなくて固い髪型が崩れないようにする高枕(?)。辛うじて受け止めて、何だ刺客かと見てみれば、襦袢姿の伊達がすさまじく不機嫌な様子で鎮座しているのだった。毛を逆立てた猫のような伊達に何か機嫌悪そうだなあと思いつつそれを気にかけるような石田さんでもないので(直江や真田とは違う意味でゴーイングマイウェイ)何で怒ってるのかは尋ねずに、人に出会いがしらにモノを投げるなど躾がなってないと一応注意すると、当人を無視して最後まで他人を仲介に自分では一切何も言わず勝手に結婚話を進めるような人間は無作法じゃないのかと言われる。流石に自分のことを言われてるんだろうなとわかったので、石田さんは眉をひそめつつ、「結婚するのがいやだったのか?しかし政宗も武士なら、約束は守るべきだろう。それに俺は諦めないから、時期が変わるだけで根本的には何も変わらないぞ。」と言い、伊達が怒り狂う。「大大名である伊達の当主が戦の褒賞として少将(だっけ?)に下賜されたなど笑い種じゃ!」あと、女の処遇なんて当人以外が話し合って決めてしまうような世の中だけど、自分はそんじょそこらの女とは違う…というか女だということが世間にはばれてないので、男だと思われてる…と思ってる伊達は、自分を蚊帳の外に置いて話が進められたことに文句がありまくりなのだった。まあ、石田さんが進めたというよりは豊臣夫妻がさっさと進めてしまったのだけれど。石田さんも被害者だ。
 あと、微妙な女心として当人からのプロポーズもなしに他人によって無理矢理結婚させられたっていうのがいたくプライドを傷つけたらしいけれど、それに関してはまだ石田さんは気づけない。
 ともかく、伊達が怒り狂ってその晩は初夜らしいことは何にもなく、それどころか石田さんは寝室を追い出されて、何故追い出されたのか首を一晩中捻ることになるのだった。










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初掲載 2007年8月