正規ルート 小咄:1

1:隠れ里の日常(ダネットED)

2:「ところで、殴ってもいいかな?」(ハーフニィス陣営)

3:ギグコマンド使用上の注意(ギグ×女主人公)

4:隠れ里の日常2(ギグED)

5:上げ底(ギグED)

































 

1:隠れ里の日常(ダネットED)


 「おっ、お前はいつもそうです……。言いたいことを言わないで、ためこんで、少しはわたしを頼ったらどうですか!わたしはお前に頼っているのに、少しくらい、借りを返させなさい!」
 ダネットの言葉に、リベアは気まずそうに視線を落とした。正直なところを告げたら、ダネットを傷つけると思ったのだ。
 「相棒、そいつに言ってやれよ。」
 頬杖を付いて見物を決め込んでいたギグが、呆れた様子で口を出した。見物がてら食べていたはずの皿のホタポタは、とっくに空になっていた。
 「破壊魔のセプーメスに、ガキの世話なんて任せられねえって。」
 「な!そっ…そんなことを思っていたのですか、お前!流石のわたしでも、子供に怪我は…、させません……たぶん。」
 「たぶん、なんだったら止めとけって。大事なオレ様のガキでもあるんだからよ。くっくっく。」
 その発言にリベアが訂正を入れる前に、ダネットが勢いよくギグに噛み付いた。
 「外に出たお前、うるさいですっ!お前と付き合ってもいないくせに、あることないこと勝手にほざいて!おまけでごくつぶしの分際のくせに!」
 「付き合……てめえ、言ってはならないことを言いやがったな?!よーし、いい覚悟だ!相手してやらあ!」
 「望むところです!今日こそ、その首根っこへし折ってやります!」
 しばし睨みあった末、足並みを揃えて鍛錬場へ向かった二人に、それまで沈黙を守っていたベルビウスが笑い声を立てた。
 「あらあら、ずいぶん愛されているようですね。ふふ、仲がよろしいこと。ふふふ。」
 「ベルビウス様……。」


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2:「ところで、殴ってもいいかな?」(ハーフニィス陣営)


 「言い方は悪くなるが、キミは今までだって散々利用されてきたんだ。もし文句があるんだったら、一発、ハーフニィスをぶん殴ってきたら良いんじゃないかな?」
 レナはそう言って、久しぶりに再会を果した、前世では兄であり今は同僚であるリベアが腕に抱くものに相好を崩した。
 「うわぁ、それにしても、可愛いねえ。ほっぺなんてふにふにじゃないか!ガジル界も段々個性が生まれてきてはいるんだけど……。ねえ、抱かせてくれないか?」
 レナはリベアから赤ん坊を受け取ると、嬉しそうに笑った。
 「これで私も叔母さんになるのかぁ。なんていうか、感慨深いよ。うん。ところで、ギグは?」
 「……殴りこみに。」
 「そう。それがいいよ。あはっ。でも、キミだって赤ちゃんがレシリエンスの魂を持ってるからって、今更手放したりしないだろう?」
 それから、レナは腕の中に視線を落とした。
 「この子はどんな未来を歩むんだろうね……。幸せになってくれるといいなぁ。ううん。是非とも、幸せになってもらいたいよ。絶対幸せにしてくれよ、キミ!あの怖い目をしたギグだって変えられたんだ、キミならきっとできる。なにせ、ボクのお兄さんなんだから。」
 そこで、レナは笑った。
 「今は、妹が正しいかもしれないけどさ。」


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3:ギグコマンド使用上の注意(ギグ×女主人公)


 「融合が解けたときは寂しかったけど。」
 そう言ってリベアは、自分を背から抱き締めているギグを振り仰いだ。
 二人の融合が解けたとき、ギグの生死は不明だった。むしろ、死んでもう二度と会えない確率の方が断然高かった。
 もっとも、ギグの嘘に気づいていたリベアはある程度の覚悟をして別れに挑んだし、また、泣きじゃくるダネットを慰めなければならない手前、動転することはなかった。しかし、実際のところ、リベアの落ち込みは、対フィーヌ戦でギグが眠りについたときの比ではなかった。
 仕方がなかったこととはいえ、リベアは当時の寂しさを思い出して恨みがましい目付きでギグを睨んだ。そんなリベアを、ギグは可笑しそうに見詰め返した。
 「でも、こんな風に一つになれるんだったら、悪くないね。」
 悔しそうに洩らしたリベアに、ギグは笑った。
 「このオレ様が、相棒を寂しがらせるはずもねーしなぁ?くっくっく。」
 「ギグ……。」
 「わーってるって、相棒。力の限り、愛を捧げてやらあ!」
 口の減らないギグの鳩尾に、リベアの鉄拳制裁が降った。


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4:隠れ里の日常2(ギグED)


 「融合とは似るものなのですか?お前たちはうんざりするくらいそっくりです。」
 ダネットはお玉を振り回しながら、説教を垂れた。
 「まったく。ホタポタばかり食べて、食事がなってません!そんなことじゃ、栄養が偏ります!わたしは覚えているのですよ!お前たちが、ラスキュラン戦でホタポタと叫んだことを。何ですかあれは。ボス戦で普通、わざわざ、あんな台詞を叫びますか?!終いには、黄金のホタポタを求めて旅に出て……ホタポタ中毒にもほどがあるのです!」
 確かに、ギグとの融合の影響でリベアはホタポタ中毒になったが、リベアとの融合の影響でギグはダネットに優しくなったのだ。融合にも、良い面だってある。
 しかしその事実には一切触れず、ダネットはお玉でテーブルを指し示した。
 「だから、わたしがお前たちのために作ってやったご飯を食べるのです!」
 流石に耐え切れなくなって、ギグが口を挿んだ。
 「つーか、食いもんじゃねーだろ、それ……。……炭じゃねーかよ……。影が薄いやつんとこに、ちったあ料理教わって来い。このダメットが。」
 「うっ……い、いらつきます!」


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5:上げ底(ギグED)


 ギグが抱くリベア像は、「人間にしてはえらく腕の立つやつ」だった。
 その像は、リベアが世界を喰らう者であると知らされ、彼女が実際に喰らうのを見てからは、「自分に唯一相応しい存在」へと改まり、共にガジルたちを倒したことで確信へと変わった。超抜無敵なオレ様に、相棒。鬼に金棒じゃねーかよ。などとギグは思った。
 だから、自分の目で、リベアを改めて目にしたとき、ギグは純粋に驚いた。彼女はこれほどまでに小さく、華奢で、脆そうだっただろうか。
 ギグは、そう思うのは、リベアが今素足でサンダルを履いていないせいだ、と自分に言い聞かせた。そのときのギグにはまだ、リベアも一人の女にすぎないのだ、とは思えなかった。それを知ったのは、再会から一年後のことだった。


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初掲載 2008年9月14日