[精霊伝説]ver





Eija・Tiilikainen。(エイヤ・ティーリカイネン)
幻魔を始祖とするエルフの亜種、ティーリカイネン家の嫡男。
偉大な祖、双子のエイヤの名前をつけられた。


ティーリカイネンには、始祖と崇められる幻魔が双子の骸を枕に眠っていた。
名を持たず、ただ漠然とした夢の寄せ集めであったソレは、アイヤ(Aija)と名付けられたことで自我を得ることになる。

アイヤを現世に呼び寄せた双子のエイヤも、この世を去って久しい。
はじまりのむすめと呼ばれし幻魔は夢見る。
この束縛から放たれ、かつてのように自由に存在することができたならば、どれだけ幸せだろう?
あの昏く美しい悪夢。深い絶望に彩られた絢爛な世界に戻ることが出来たならば、どれだけ愉しめるだろう?
アイヤは退屈のうちにまどろんでいた。


55年前、ティーリカイネンに転機が訪れた。
嫡男であるエイヤの妹レイヤ(Reija)が行方をくらませたのだ。

レイヤは不出来な娘だった。両親の期待にこたえられず、厭われた娘だった。
幻魔の血を薄めないため、ティーリカイネンでは血族婚が普通である。レイヤはエイヤの妹だったが、同時に、婚約者でもあった。
最愛のレイヤの出奔に、エイヤの心は次第に病んでいく。
やがて執着は妄執を生み、骸を枕にまどろむアイヤを呼び覚ますことになった。

レイヤがいなくなってから13年後、月の綺麗な晩のことだった。
エイヤはアイヤにそそのかされるまま、家族を殺した。
運命のいたずらか、アイヤはレイヤに酷似していた。そのため、エイヤはアイヤをレイヤと錯誤した。
現実を認めまいとするがゆえの熱望からの錯誤だった。


足枷をなくしたエイヤは「レイヤ」にうながされるまま、愛しいレイヤを捜す旅に出た。
「レイヤ」を伴ったレイヤ探索の旅に、矛盾があるとは思いもせず…。


*



ヘルヴィ
Helvi。王位を簒奪せんとした「強欲」な聖女の首を刎ねた剣。首は死後も笑い続けた。

アネルマ
Anelma。若さを保つため娘達を殺めては血を浴びた「淫蕩」な貴婦人が好んで用いた鞭。

イェルダ
Gerda。「怠惰」な寡婦が唯一好んだ狩猟の際にまとった鎧。獲物は人であったという。