相手に対して一番抱くべき感情は、殺意だった。准ずるものであれば何でも良いと言い切るには些か抵抗があったが、それでも、抱くべきは敵意や嫌悪や同情であるべきだった。 それらの感情を浮かべるまでもなく、自らより下等で塵芥に等しい存在として、人間の命を戯れに搾取していく彼に瞳を奪われたのは、あってはならない事実だった。 まして恋をするなど。 あっては、ならなかった。
初掲載 2006年12月18日 Rachaelさま