シロツメクサで作られた指輪は作りが甘くボロボロで、今にも崩れてしまいそうだった。
当の作った本人はどこをどう這いずり回ってきたのか泥だらけで、泣きそうな顔で俺を見ている。胸が打たれて頭を撫でると、項垂れていた耳がぴんと立ち上がった。
不器用な幸村が不器用なりに作ってくれた、指輪。それはまだ本物ではないけれど。
「thanks.」
まだ泣きそうな幸村の髪をかきあげて額にキスを落としてから、俺はその指輪をゆっくりと壊さないようにはめた。
「お、ぴったりじゃねえか。」
太陽に手をかざし見ていると、顔を真っ赤に染め上げた幸村があがあがと唇を慄かせてから、それこそ泣きそうな声で言った。
「ま、政宗殿。その指は、」
「ん?」
「左手の、」
左手の薬指が何を意味するかくらい知らないほど、俺は無知じゃない。
とうとうぽろりと涙を零した幸村に、泣かせたいわけじゃないのにと思った。俺は嬉しさと切なさと愛しさで苦しい胸を押さえつけて、笑った。
「もしも、」
もしもこんな俺を貰ってくれるかと尋ねたら、幸村をもっと泣かせてしまうことになるのだろうか。
初掲載 2006年12月6日